発見!輝く歯科衛生士さん vol.9 ~独自の予防歯科診療KMSシステムを行う「マリン歯科」の歯科衛生士さん~

発見!輝く歯科衛生士さん vol.9 ~独自の予防歯科診療KMSシステムを行う「マリン歯科」の歯科衛生士さん~

患者さんに自分の口腔状態を理解してもらうために、まずは「考えてもらう」

――巻幡院長

KMSシステムでは初診の際は基本的に治療を行いません。まずは、患者さんに現状を把握することがすぐ治療を行うことより必要だと理解していただくところから始まります。

そのうえで、「赤染めして、私の虫歯の原因は食べかすではなく、ばい菌だったんですね。この赤く残ったものを、落とさないといけないんですね。」という言葉が出て、患者さんは『プラークコントロールしなきゃ』と思うわけです。一方的に結果や答えを伝えるだけではなく、患者さん自身で気づいたことを頑張っていただく。治療が先行するのではなく、患者さん自らがセルフコントロールをしようとする意思を持っていただくことが大切だと考えています。

 

――小村さん

私は「今の歯茎の状態をどう思いますか?」「ばい菌が残っているところと同じ場所だとわかりますか?」といった質問を投げかけるようにして、まずは患者さんに考えていただくことを大切にしています。

患者さんの歯肉が腫れているときには、「歯茎が腫れていますね」という前に患者さんに鏡を見てもらいます。しかし、患者さんにとっては腫れている状態が当たり前になってしまっているので、歯肉の腫れに気づかないことがほとんどです。

その際には、健康な状態の写真を見せたり、自分の歯肉を見せたりしています。「この歯科衛生士さんの歯茎は健康なんだ」という信頼に繋がればと思い、「私の歯茎と比べてどうですか?」と聞くこともあります。

そうすると『腫れている』『赤くなっている』と患者さん自身が気づいてくださります。そのうえで、主訴の原因となる生活習慣をヒアリングするようにしています。

 

――出口さん

歯周病について詳しく知っている患者さんは少ないのですが、まずは質問をして患者さんに一旦「歯周病とはどのようなものなのか?」について考えていただきます。そのうえで私たちが「歯周病とはこういうものなんですよ」と説明すると、そのまま答えを伝えるだけより患者さんの注意を惹くことができます。

小村さんが健康できれいな歯肉を患者さんに見てもらうのと同じように、フロスの使い方を説明するときに自分の口を使って説明することはあります。逆に、「私もフロスを毎日できているわけではないんですよ」と患者さんのセルフケアに対するハードルを下げるやり方もしています。

 

――岩田さん

私は患者さんに対する質問はもちろんですが、たとえ話をしてわかりやすく伝えることもしています。

うがいに血が混ざるなど、歯肉から血が出ている状態を普通に思っている患者さんも多くいらっしゃいます。そのような患者さんには「自分の手のひらが傷ついていて血だらけだったらどう思いますか?ばい菌が繁殖して出血が起きているんですよ」と質問を投げつつ状況を伝えると、『それは大変なことだ』と患者さんご自身が気づいてくださります。

他にも、口ではない体の部位に膿ができたら『大変だ!』と思うはずなのですが、歯周病は年を取ったらかかるものだと思っている患者さんもいらっしゃいます。このようなケースも同様に、患者さんに質問をして考えていただいた後にたとえ話をすると、患者さん自身が気づいてくださります。

 

「子どもの頃からフロスを当たり前にしていきたい!」(出口さん)

――巻幡院長

当院はどちらかというと年齢層は大人・高齢者に寄っていますが、キッズ・ジュニア向け予防プログラムも提供しています。

 

――小村さん

保護者の方がいらっしゃった後、お子様を連れてくることもよくあります。小さい子ほど歯科医院を嫌う傾向があるので、まずは慣れてもらうことからスタートするようにしています。大人になってからいきなり予防の知識を取り入れて実践するより、子どもの頃から実践した方がいいのは間違いありません。意識の高い保護者の方も多いので、キシリトールを妊娠中から使い始めていただくなど、少しでも早い段階で予防の重要性に気づいてもらえるようにしています。

 

――岩田さん

保護者の方に、「フッ素入りの歯磨き粉はどれがいいですか?」「どういった歯ブラシを使ったら良いですか?」と聞かれることも多いです。なかには「フロスはどれを使ったらいいですか?そもそも使った方がいいですか?」と質問をされる方もいらっしゃいます。

 

――出口さん

大人の患者さんの中には『フロスってわざわざしなきゃいけないですか?』という方もいらっしゃいますが、そのような場合は「海外だと、歯磨きの絵がフロスだったりするんですよ」と伝えています。

私自身小さい頃はフロスの存在を知りませんでしたが、小さい頃から知っていれば大人になってもフロスが当たり前の存在になるはずです。実際、定期的に来院している子どもはフロスに抵抗がありません。フロスが当たり前という子どもを増やしていきたいです。

 

患者さんとのコミュニケーションのカギは「コミュニケーションシート」

――巻幡院長

患者さんと交わした会話内容はコミュニケーションシートに記載します。趣味はもちろん、旅行、家族内のできごとなどちょっとした会話などもメモしています。それをスタッフ全員で共有出来るようになっているので患者さんの「あなたがなんで知っているの?」という驚きや、気にかけてもらっているんだなという安心感を引き出したいのです。

 

――出口さん

患者さんごとに趣味はもちろん、歯の悩みが違うので、コミュニケーションはしっかり取るようにしています。

静かな雰囲気が好きな患者さんだと思っていたら実はお話が好きだったなど、自分の思い込みと実際が違うことも多く、コミュニケーションの大切さを実感しました。

 

――小村さん

コミュニケーションという意味では、あいさつ、笑顔、目線に気をつけています。前回の世間話を少し取り入れたりして、患者さんの日常の中からの変化、その日の体調などを読み取っています。その他、診療中以外でも患者さんが医院に入ってから帰るまで、しっかりと反応し、変化を観察することで安心してもらえるように心がけています。

――巻幡院長

コミュニケーションという意味では、毎朝20分程度、その日出勤のスタッフ全員で朝礼を行っています。朝礼では当院のクレドや最近あったことを自分の言葉でスピーチしてもらっています。患者さんからの話しかけにスムーズに対応できるように、院外での発表や講演に役立っています。

 

――小村さん

朝礼では順番に司会を担当します。司会はやり方が決まっていて、著名な方の名言集をパッと開き、開いたページに書いてあることについて話をしたり、他の人からふられた話題について即興で話したりします。その他、院長がおっしゃっているように最近あったできごとを話すことをしています。時間は特に決まっていないのですが、5分ぐらい話すことが多いです。

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