自立している高齢者に必要なセルフケアとは?

自立している高齢者に必要なセルフケアとは?

ここ30年で高齢者の方の口腔内の環境は大きく変わりました。

1989年に75~79歳で20本以上の歯が残っているのは10人に1人でした。
それが2015年には、2人に1人になっています。

「高齢者 = 入れ歯」のイメージが強いのですが、これからは多数の歯が残っている方が
増えていることをしっかりと頭に入れておく必要があります。

しかし、「高齢者」といっても「自立している方」「要介護の方」など、患者さんの状態によってケア法が異なってきます。

今日は、『自立している高齢者の方に必要なセルフケア』についてお伝えします。

※平成23年歯科疾患実態調査(厚生労働省統計):20本以上の歯を有する者の割合の年次推移

 

高齢者の口腔内環境の特徴とは?

高齢者は加齢の影響で唾液腺の働きが弱くなる、薬の副作用で唾液の分泌が減るといったことが原因で口腔内の乾燥が起きます。

乾燥しているということは、当然唾液の分泌が少なくなっているということです。菌の繁殖も進み、う蝕・歯周病の原因となります。歯周病がすすむと、歯肉退縮から歯根が露出し、根面う蝕になりやすいのも高齢者の特徴の一つです。

また、舌苔も唾液が出ていれば付きにくいですが、唾液の分泌が少ないと舌に付くようになり、口臭の原因になります。

口臭の予防には、舌ブラシを使用して舌の清掃を行うと効果的ですが、口腔内が乾燥したまま舌ブラシを当てると、痛みを生じる場合があります。その場合、デンタルリンス(ノンアルコールタイプ)などを使用し、口腔内を潤わせてから使用するという配慮も必要です。

 

“保湿”が大切である認識を持ってもらうことが重要

「口が渇く・粘つく」
「食事がおいしくない・飲み込みにくい」
「口臭が気になる」
「義歯が痛い」

このような症状を訴える患者さんはいらっしゃいませんか?

これらは口腔内が乾燥していることの典型的な症状です。

しかし、患者さん自身が「自分自身の口腔内が乾燥しているかどうか」を判断することは難しい上、
原因が口腔内の乾燥だとは気づいていません。

高齢者のセルフケアでは、

・これらの症状の原因が口腔内の乾燥が原因であること
・保湿が大事なこと

を最初に伝え、患者さんにしっかり理解してもらう必要があります。

 

高齢者が手軽にできるセルフケア法

1.口腔粘膜マッサージを行う

毛先の柔らかい歯ブラシを使って口腔粘膜マッサージを行うことで、口腔の潤いを改善することが可能です。

■1日5分でOK!口腔粘膜マッサージのやり方

(1)歯ブラシを軽く水で湿らせる。
(2)頬粘膜、口腔前庭、口蓋、顎堤、歯肉、舌をそれぞれ約10回ずつまんべんなくマッサージをする。

■ブラシの動かし方のポイント

それぞれの部位をリラックスさせることも意識しつつ、
後方から前方、左右上下に「大きく」「ゆっくり」「やさしく」ブラシを動かします。

やり過ぎたり、強く擦り過ぎると逆に傷つけてしまうので注意が必要です。

参考:口腔粘膜ケア用ブラシ エラック510「口腔粘膜マッサージのすすめ ~口腔内の潤い改善と口腔機能向上のために~」

 

2.口腔湿潤スプレーを使う

口腔湿潤スプレーを使うのも簡単で効果的な乾燥対策です。
口腔内の保湿だけではなく、口唇・口角にリップクリーム代わりに使ったり、義歯装着時の痛み・不快感を緩和することも可能です。

 

3.洗口液を使う

バイオフィルムへのアプローチとしては、まず刺激の少ないノンアルコールの洗口液でうがいをしてプラークを軟化させます。
その後、ブラッシングをすることでプラークの除去効果が高まります。

 

まとめ

自分の歯が残っている高齢者の方が増えているため、「いつまでもおいしく食べられる」というQOLを維持するために口腔内のケアは欠かせません。

口腔内の乾燥が原因で「義歯の痛み」「口臭」「う蝕・歯周病の進行」などの症状がでるので、保湿ケアは特に大切なケアです。

薬の副作用により口腔内の乾燥が起こることもあるので、歯科衛生士さんはブラッシング指導や保湿ケアの指導をする一方で、患者さんが服用している薬に対する知識も増やしていくとベストです。

最初にお伝えしたように、「自立している方」「要介護の方」ではケア法が異なりますので、それぞれの患者さんの状態を知り、適切なケアができるようにしましょう。

おすすめ記事

高齢者に多いカンジダ性口内炎

高齢者に多いカンジダ性口内炎

高齢者の主な口腔内トラブルといえば根面う蝕・歯周病、ドライマウスが挙げられます。その他にも、「カンジダ性口内炎」は食欲を低下させるうえ、痛みも伴い患者さんのQOLを低下させる一因になります。 今回は...
ライオン歯科材株式会社