喫煙患者さんの歯周病リスクと歯科医院での指導方法

喫煙患者さんの歯周病リスクと歯科医院での指導方法

「喫煙患者さんは歯周病のリスクを高めると思うのですが、どう対応すれば良いのでしょうか?」

以前、後輩の歯科衛生士からこんな質問を受けました。

歯周病は歯石や歯並びなどの口腔内の環境やストレス・食習慣・不規則な生活・喫煙などの生活習慣が原因となります。

喫煙患者さんの場合、『喫煙することが歯周病のリスクを高める』ことを知ってもらうことが大切です。

今日は、『喫煙患者さんの歯周病リスクと歯科医院での指導方法』についてお伝えします。

 

喫煙が歯周病リスクを高めることを理解してもらう!

とにかく大切なのが、喫煙が歯周病リスクを高めることを知ってもらうことです。

喫煙患者さんは非喫煙患者さんより2~6倍の歯周病リスクがあり、喫煙本数が増えれば増えるほどリスクは高くなります。

タバコの煙に含まれるニコチンの血管収縮作用と、一酸化炭素による酸素を運搬する能力の低下により、血流の悪化・唾液の分泌の低下が起こります。

その結果、口腔内の細菌が増え、歯周病になってしまうというメカニズムです。

 

喫煙患者さんの歯周病を予防するためにできること

歯周病を予防するための一つの方法は、定期的に検診に来ていただくことです。

患者さんの口腔内の状態を定期的に確認し、患者さんのステージに応じた最適なアドバイスや提案をします。

二つ目は、歯周病予防製品を使ったセルフケアをしていただくことです。

日常の歯磨きを丁寧にしていただくのはもちろんですが、歯周病の大敵であるバイオフィルム内部まで浸透して殺菌するIPMP(イソプロピルメチルフェノール)が入ったジェルや、浮遊性細菌を効果的に殺菌できる洗口液を使って歯周病を予防します。

患者さんのレベルに応じたTBIの方法の参考例・歯周病ケア用洗口液については、こちらの記事にまとめているので興味のある方はご覧ください。

初診時のTBIで患者さんにどのような言葉をかけていますか?

歯周病ケアにも洗口液が効果的!歯周病ケア用洗口液の特徴とは?

 

喫煙患者さんへの指導のポイント

大切なことなので何度もお伝えしますが、喫煙患者さんへの指導のポイントは「歯周病のリスクを理解してもらう」ことです。

一番気をつけなければならないのが、「タバコはダメですよ」と100%の禁煙を促すこと。

ここで大切なのは「否定しないこと」です。

好きなことを「やめてください」と言われても、すぐにキッパリとやめるのは難しいことです。まずは患者さんの習慣を受け入れた上で、「喫煙が歯周病のリスクを高めること」について患者さん自身に理解していただくことがポイントです。

 

まとめ

歯周病の原因にはさまざまなものがありますが、喫煙はその一つ。喫煙患者さんに対しては、まずは「歯周病のリスクが高い」ことを理解していただくことから始めます。

対策としては定期的なプロケアと、日常のセルフケアで歯周病対策製品を使用していただくことが基本です。

好きなことをいきなりやめるのは難しいので、患者さんの習慣を受け入れた上でセルフケアができるように導いてあげられると良いと思います。

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