これからの歯周病ケアには「殺菌」+「歯肉の防御」が大切な理由

これからの歯周病ケアには「殺菌」+「歯肉の防御」が大切な理由

セルフケアにおける歯周病ケアには、殺菌成分による「歯周病菌の殺菌」が欠かせませんが、これからの歯周病ケアはさらに「歯肉の防御」をしていくことが大切です。

今回は「殺菌+歯肉の防御」という新しい観点から歯周病ケアについて見ていきます。

 

歯周病ケアで歯肉の防御をするメリットとは?

みなさんご存じのように、歯周病は局所に付着して増殖した細菌が歯周組織内に侵入し、体の防御反応が起こる結果、歯周組織に炎症が生じる疾患です。

歯周病ケアでは歯周病の直接の原因となるプラークに対して、ブラッシングやIPMP・CPC等の殺菌成分による歯周病菌の殺菌を行います。それに加えて、トラネキサム酸・グリチルレチン酸等の抗炎症成分で歯肉の炎症を抑えることが一般的です。

このように、今までは細菌へのアプローチと炎症が起こった後の抗炎症アプローチが主流で、そもそも細菌の侵入を防ぐというアプローチはなされてきませんでした。

しかし、近年の研究により「歯肉上皮細胞」に細菌の侵入を防ぐバリア機能があることが報告されています(和泉 雄一, 歯周病における歯肉上皮細胞のはたらき, 鹿歯紀要, 20, 5−17,2000.)。

そのため、これまでの歯周病ケアに加えて歯肉上皮へアプローチすることで、さらなる歯周病ケアが期待できます。

 

ビタミンEが歯肉上皮を活性化!

歯肉上皮のケアとして着目された成分が「ビタミンE」です。

ビタミンEには、

 1. 歯肉細胞を活性化して歯肉組織を修復
 2. 歯肉上皮を強化して歯肉内部への歯周病因子の侵入を防ぐ

という効果があります。

これにより細菌へアプローチするだけではなく、体本来の歯肉の防御力を高めるアプローチで歯周病ケアを実現することが可能になりました。

 

まとめ

これからのセルフケアにおける歯周病ケアでは、ビタミンE等の歯肉防御成分が歯肉上皮へアプローチすることで、さらなる歯周病ケアが期待できます。

「殺菌+歯肉の防御」という歯周病ケアに対する新コンセプトの予防用品も、患者さんへのご提案候補の一つとして選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

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※参考資料:和泉 雄一, 歯周病における歯肉上皮細胞のはたらき, 鹿歯紀要, 20, 5−17,2000.

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