「歯槽膿漏」と「歯周病」の違いとは?
ドラッグストアなどでもよく見かける「歯槽膿漏」という表記。言葉としては認知されていますが、患者さんに「歯槽膿漏とは何ですか?」と問われたら歯科衛生士さんはどのように説明していますか?
今回は、「歯槽膿漏と歯周病の違い」についてご紹介します。
しっかり押さえておきたい歯周病の段階別症状
歯槽膿漏を理解する上で欠かせないポイントが「歯周病の3段階の症状」です。ここでは簡単にそれぞれの特徴を記載していきます。
1.歯肉炎
歯肉炎は歯周病の初期段階です。この段階では痛みがほとんどないため、気づかずにいる患者さんも多くいます。この段階であれば、適切なブラッシングや歯磨剤の選択でケアをすることが可能です。
2.歯周炎
ご存じのように、歯周病がある程度進行すると歯周炎になります。この段階では、歯肉の腫れ・出血、口臭の発生、歯周ポケットが深くなるといった症状が見られます。
3.歯槽膿漏
歯槽膿漏は、歯周病が最も進行した重い症状のことを指します。歯を支える歯槽骨が破壊され、歯が抜け落ちる心配があるほど重篤な疾患です。この段階ではひどい口臭や歯肉からの出血・膿が確認されます。この段階になるとセルフケアで対処できる問題ではなくなっているので、歯科医院においてしっかりした処置・治療が必要です。
結局のところ、
歯槽膿漏 = 重度の歯周病
ということになります。
病名が異なる理由は、昔は歯周病のひどい状態を歯槽膿漏と呼んでいたことに由来しています。
まとめ
歯槽膿漏とは、つまり重度の歯周病のことです。しかし、いきなり歯槽膿漏になることはないので、初期段階でどれだけ症状を抑えられるかがポイントになります。
歯科衛生士さんならばご存じのように、歯周病には3Sといわれる特徴があります。
・Silent Disease(自覚症状が少なく静かに進行する)
・Social Disease(成人の8割以上が罹患している)
・Self Controllable Disease(日常のプラークコントロールにより予防ができる)
定期的なメインテナンスで歯科衛生士さんがチェックすることはもちろん、歯周病の初期症状の特徴をしっかり患者さんにも覚えていただき、少しでも違和感を覚えたら歯科医院に来ていただくといった患者さんの意識の向上が大切なのかもしれません。