お口ポカンは要注意!口呼吸によるう蝕・歯周病リスクとは?
患者さんが口呼吸をする原因はさまざまですが、口呼吸によってう蝕・歯周病リスクが高まります。
それだけでなく、唇がカサカサになる、感染症のリスクが高まるなどさまざまな弊害が出てくる可能性もあります。
今回は『口呼吸によるう蝕・歯周病リスク』についてお伝えいたします。
口呼吸の原因と、免疫に与える影響
鼻呼吸ではなく口呼吸になってしまう理由は、
・花粉症・鼻炎などのアレルギー疾患
・スマートフォンなどの普及によるしゃべる機会の減少
・急激な温度変化
・激しい運動
などさまざまな原因があります。
口呼吸は鼻呼吸と比べ、免疫にも大きな影響があります。
鼻水は1日に約1L分泌されていますが、そのうち7割が鼻を通る空気の加湿に使われています。その効果で、肺に入る頃には加温される上に湿度は90%にもなります。しかし、口呼吸の場合は乾いた冷たい空気がそのまま肺に入ることになるため、免疫の点からも決して良いとはいえません。
さらに鼻呼吸では鼻毛や鼻水がフィルターとなり空気中のほこりやウイルス・細菌を防ぎますが、口呼吸の場合はダイレクトに体内に入ってくるため風邪やインフルエンザなどの原因にもなってしまいます。
口腔内の乾燥がう蝕や歯周病のリスクに
予防歯科において口呼吸が問題となるのは、口呼吸が口腔内の乾燥につながるためです。
口腔内が乾燥することで唾液が分泌されにくくなり、さらなる乾燥を導いてしまいます。そうなると唾液による防御機能が弱くなるため、口腔内で細菌が繁殖しやすくなります。
その結果、う蝕・歯周病が進行しやすくなり、また口腔内の細菌が増えることで口臭もきつくなってしまうことが多いです。
口呼吸を改善できれば一番ですが、う蝕・歯周病予防の観点からは、まずは口腔内の乾燥状態を防ぐことがポイントになります。そこで、口腔湿潤剤を活用して乾燥状態を防いだり、洗口液で細菌繁殖を抑えたりすることが効果的です。
特に気をつけたい子どもの口呼吸
子どもの場合、口腔内の乾燥やう蝕・歯周病リスクだけでなく歯列や咬合への影響も心配です。
歯の位置は唇や頬の筋肉による外側からの圧力と舌による内側からの圧力のバランスによって決まります。
口呼吸を続けていると唇まわりや頬の筋肉の正常なバランスが崩れて内側の圧力が強くなることで歯が口唇側へ傾斜し、いわゆる「出っ歯」といった状態になってしまいます。これは乳歯だけでなく永久歯でも起こるため審美面でも影響を及ぼします。
咬合が悪くなることで咀嚼機能も低下してしまうため、嚥下障害や消化障害にもつながる可能性があります。
審美面や咀嚼機能といった一時的ではなく、成長過程や大人になった後にも影響する内容であることから、う蝕・歯周病を防ぐという観点だけでなく早めに口呼吸を改善しておきたいところです。
まとめ
口呼吸をすることでう蝕・歯周病リスクが高まります。「なぜ口呼吸をしてしまうのか?」というそもそもの原因を改善できるのが理想ですが、予防歯科の観点からはひとまず口腔内の乾燥を防ぐことが大切です。
洗口液や口腔湿潤剤の活用など、患者さんの生活習慣をもとに、簡単に実施できる対策をまずは提案してみてはいかがでしょうか。