私たちの実践!予防歯科ストーリー vol.4 ~20年以上の予防歯科の歴史がある「あらや歯科医院」~
『子どもの頃に優しい歯科衛生士さんと出会ったことがきっかけです』(三上久美さん)
――歯科衛生士歴と、歯科衛生士になったきっかけを教えていただけますか?
卒業以来ずっとブランクなく現役です。予防処置をメインに行っています。
歯科衛生士になるきっかけは、子どもの頃の体験でした。子どもの頃に虫歯が多くて、親とよく歯医者に行きました。だけど、もう怖くて怖くて・・・。診察台に座っていられなくて、逃げ出しちゃうぐらい怖かったんです。
でも、その時に優しい歯科衛生士さんに出会うことができました。
最初はピンクの白衣を着たお姉さんが歯磨きをしっかり教えてくれるというイメージだったのですが、次第にこの職業は何だろう、何の仕事をしている人なんだろうと興味を持つようになりました。
優しい歯科衛生士さんになれたら良いなと思ったのが歯科衛生士になったきっかけです。
――最初から予防歯科に携わっていたのですか?
スウェーデンの予防の話を聞いてから「虫歯がない状態になるにはどうすればいいんだろう?」と勉強し始めたのがきっかけです。
虫歯になってから治療するのではなくて その前に予防するということが大切だということを知ってさらに興味を持ちました。
また、患者さんの歯肉を見ることの大切さを実感しています。歯肉を見ることで患者さんの全身疾患の発見につながることもあるんです。
患者さんに動機付けができた時は本当に嬉しかったです!
医院内勉強会の様子
――やはり予防歯科に取り組み始めた当初はいろいろ大変でしたか?
なかなか結果が出なくて悩みました。患者さんに説明しても「わかっています」という感じでシャッターをバシッと下ろされたりしていました。
「どうしたらいいんだろう?」「モチベーションを上げることはできないのかな?」と悩んでいた時期もありました。
患者さんのお口の中がきれいになってツルツルになる体験をすると、次第に患者さんが変わってくることに気づきました。
「こんなにきれいになるんだ!」という体験をしてもらうことで動機付けができた時はすごく嬉しかったです。そういう状態になるとリコールにもきちんと来てくださるようになります。
――なかなかお話をしてくれない患者さんもいらっしゃると思うのですが、どのようにコミュニケーションを取っていますか?
相手の気持ちを聞くことを第一にしています。
患者さんのお気持ちに寄り添うことを心がけて、何度目かでお話をしてくださる方もいらっしゃいます。全身疾患のことを問診で記入していただいていますが、なかなか環境やすべての深いところまでは最初は聞けないこともあります。
それでも、時間の経過とともに心を開いてくれてお話をしてくれることがあるんです。
――一度に聞きすぎないこともポイントですか?
薬とかアレルギーなどのことはしっかり聞きますが、最低限必要なこと以外の情報はまた次にしようかなと思うこともありますね。
また、当院では初診時には歯科衛生士だけでなく、受付もきちんと対応しチームとして参加しています。院内ミーティングにも参加して、受付での情報を共有することでチームとして大切な役割を担っています。
今後やっていきたいのは「食育」です
――今後は何にチャレンジしていきたいですか?
食育インストラクターなどの栄養分野にチャレンジしてみたいです。
高齢化に向けて摂食嚥下の理解の必要性を感じ、「口から食べることが健康につながる」と思っています。日々勉強していかないといけないと感じています。
「笑顔」を大切にするあらや歯科医院(あらや歯科医院 院長 荒谷和弘 先生)
――院長先生が「笑顔」を大切にすることを理念ににしている理由は何でしょうか?
第一に念頭に置くのは、歯医者は「ペインクリニック」であるべきだということです。痛みが取れないと患者さんも信用してくれません。痛みを取ることで、次回いらしたときに笑顔で来てくださるようになります。
次に、患者さんの笑顔を見るだけでなく、従業員にも笑顔でいて欲しいということがあります。
働く時に「めんどくさいな」と思いながら勤めてもらうのは悲しいことです。いろいろなことを通じてお互い切磋琢磨することにより笑顔が見られるような医院にしていきたい。
患者さんと従業員の両方の笑顔を感じ取っていきたいと思ったのがきっかけです。
――笑顔を作るために心がけていらっしゃることはありますか?
やはり働きやすい環境を作ることです。
一生懸命働いてくれているので、それに見合う給料などの成果を出してあげられないと不満が残ります。私は、頑張っている歯科衛生士さんをきちんと評価してあげたいと思っています。他にも、みんなの意見を私が聞いて吸収してワンクッションになってあげたいと考えています。
予防歯科に取り組むきっかけは勉強会で気づいた「チーム医療の必要性」
――先生が予防歯科に取り組むきっかけは何だったのでしょうか?
私は大学が予防歯科の教室だったので、学生の時から予防を勉強していました。ですが、なかなか大学に勤めている時は予防歯科の実態を考えることができていませんでした。
今から27年ほど前(※2017年現在)になりますが、SJCDというスタディーグループに参加することで、歯科衛生士、歯科技工士と三位一体でチーム医療を行うことが必要だと気づきました。
それが本格的に予防歯科に取り組むきっかけになりました。
一人でも多くの患者さんに予防の大切さを伝えてください
――最後に、院長先生から歯科衛生士さんに一言お願いいたします
患者さんとのやり取りの中で生きがいや、やりがいを見つけてくれるといいですね。
そうすると歯科衛生士としての笑顔も増えてくると思います。そういうことを考えながら治療していって欲しいです。
そして、一人でも多くの患者さんに予防歯科の大切さを伝えて欲しいです。今後もいろいろな面からあらや歯科医院を支え続けてくれることを願います。
笑顔が素敵な『あらや歯科医院』のスタッフ
まとめ
優しい雰囲気の荒谷院長先生、笑顔の絶えない冨岡さん、とても話しやすい三上さん、ありがとうございました!!
『あらや歯科医院』さんではホームページに
「皆さん、歯医者は嫌いですよね?私たちも痛いのはキライです(笑)。
だから患者さんの気分が少しでも和らぐように明るい笑顔と優しい応対を心がけています。」
と掲載されているように、アットホームでとても優しい応対でした。患者さんが一家そろってかかりつけ歯科医院と思って通っていらっしゃるというお話を聞いてとっても納得です。
『あらや歯科医院』さんのように長年、予防歯科に取り組む医院がもっともっと増えてくれれば、う蝕・歯周病の割合がグッと減ることは間違いないですね!
予防歯科に積極的に取り組んでいる歯科医院さんの取材をまだまだしていきますので、次回もお楽しみに!
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