私たちの実践!予防歯科ストーリー vol.10 ~セミナーをきっかけに考え方が180度変わった歯科衛生士さん~
「TBIに関してもセミナーはとても参考になります!」(赤池さん)
――草薙さん
赤池さんは小さい頃の経験がきっかけで、中学生の時には歯科衛生士を目指していたんです。
――赤池さん
お菓子が大好きで小さい頃は歯科医院によく通いました。その時に私の担当だった歯科衛生士さんに憧れ、「私も歯科衛生士の道を歩もう」と決めました。母がまだその歯科医院に通っているので、母経由で私も歯科衛生士になったことを伝えてもらいました。すごく喜んでくれたと聞いているので、歯科衛生士になって良かったと思います。
小さい頃からなりたかった職業なので、歯科衛生士になれたことはすごく感激です。生涯、歯科衛生士として患者さんに携わりたいと思っています。
――草薙院長
赤池さんは嫌な顔一つせずに誇りを持って仕事をしていることが見ていても感じ取れるので、これからの成長も期待しています。
――草薙さん
帰り際にわざわざ赤池さんを探して「ありがとう」という気持ちを伝える患者さんがたくさんいます。それだけ患者さんから好かれています。
――赤池さん
診療やクリーニングが終わった後に「キレイになった」「ありがとう」と声をかけていただくと「歯科衛生士をやっていて良かったな」と感じます。その他にも、患者さんにTBIで指導した部分が次回きちんと磨けていて、染色した時に変化があるととてもやりがいを感じます。
TBIに関しては、歯科衛生士学校で習った知識と実際は違うことも多いので、セミナーで先生の経験や知識を聞くことができるのはとても勉強になります。学校では顎模型を中心に学びますが、実際の患者さんの口の中は模型とは違うので、患者さんごとの口の中に合わせたブラッシングの仕方が参考になります。
メインテナンスでは1時間半たっぷりと患者さんとのコミュニケーションを取っています
――草薙さん
海外からいらっしゃる患者さんなどは2時間以上対応することもありますが、基本は1時間半という時間で患者さんと向き合っています。
最初に当院のドアをくぐるときは暗い表情だったとしても、帰るときには明るい表情で帰っていただくことをモットーにしています。
まずは挨拶から入り、前回から今回までにどんなことをしていたか、生活の変化など変わったことはないかを確認しています。なかには家族には言えない話などをする患者さんも結構いらっしゃいますね。
前回からの変化を確認したら次は口腔内を確認していきます。当院では必ず染色してからブラッシング指導を行っています。
――草薙院長
当院のメインテナンスの時間が長いのは、必ず染色するからです。プラークは視認しないとわからないものなので、PMTCの際に染色はセットだと考えています。
――赤池さん
私はもともと患者さんとのコミュニケーションが苦手でした。草薙さんが患者さんと話している様子や声かけしている様子を見て、コミュニケーションについて学んでいます。
ただ、やはりTBIなどをしていてあまり反応がない患者さんは難しいと今でも感じます。
――草薙さん
患者さんも機嫌があまり良くないとき、話をしたくないときもあります。だから、そういったときは黙るようにしています。ただ、なかには話を聞いて欲しくて黙っている患者さんもいるので、患者さんの日頃の態度をしっかり観察するようにしています。
「今日はどうかしたのですか?」という質問が鉄板です。その質問をすると「母親が病気になった」「実は・・・」などと事情を話してくれるのですが、それに対して「どうして?」とは絶対に聞きません。根掘り葉掘り聞かないことがポイントだと考えています。
歯科衛生士にとってコミュニケーションは必須ですが、その前に相手を思う気持ちが必要です。小林さん・赤池さんと患者さんのやりとりを見ていて、改めて二人から教わりました。
「まずはコミュニケーションありきだと考えています」(草薙 豪 院長)
開業当初からの診療理念は「ダメージの大きい歯でもできるだけ抜かずに活かし、10年20年長持ちする治療を提供する」ことです。それには技術の研鑽はもちろん、患者さん自身にお口の健康維持に意識を向けていただくことが必要です。
基本的に医者が病気を治すのではなく、病気を治すのは患者さんご自身だと思っています。患者さんの治したいという思いを手助けするのが医療関係者の仕事です。
だからこそ、まずはコミュニケーションありきです。患者さんのことを知って、「患者さんはどうなりたいのか?」を知ることが大切です。患者さんの気持ちをちゃんと受け止められる医療者であることが大事なポイントだと思います。
歯科衛生士さんへ:人間としてもっともっと成長して活躍していただきたいです
・草薙さんへ
後輩の目標になる歯科衛生士であることを意識し、若いスタッフと一緒に研鑽をすることで医院のレベルアップ、患者さんからの信頼の向上が得られることの価値は絶大です。
・小林さんへ
歯科衛生士として臨床で12年、当院では10年間、歯科衛生士業務を担当してもらっていました。一旦離職し、6年後に受付として復職して3年になります。当院での臨床を熟知し、20年以上通院する親子四世代の患者さんとも文字どおり旧知の仲で対応できることは大変価値あることです。
・赤池さんへ
中学生の頃から歯科衛生士になることを目標にしていたこともあり、常に業務に前向きに取り組んでくれています。できないことをそのままにせず、まじめに粘り強くやり抜くことで着実に技術向上しています。最初は苦手だった患者さんとのコミュニケーションも向上してきていて、今後のさらなる活躍を期待しています。
当院は期せずしてさまざまな世代の歯科衛生士さんがいて、広い世代の患者さんと話が合うのが強みになっています。患者さんとのコミュニケーションが重荷になることもあるかもしれませんが、裏返せば、これほどコミュニケーションを取ることができる仕事はあまりないと思います。歯科衛生士の仕事を通じて人間としてもっともっと成長して活躍していただきたいと思っています。
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