「歯ブラシのスーパーテーパード毛とラウンド毛は、それぞれどういう患者さんにおすすめしたらよいのでしょうか?」
歯科衛生士さんからいただいた質問の中で多かったものを、直接セミナーで講師をしている歯科衛生士の先生にお話を伺う「教えて先生!お悩み相談室」。
第3回となる今回も、前回に引き続き埼玉県の古畑歯科医院にお勤めの波多野映子先生に「スーパーテーパード毛とラウンド毛歯ブラシ」について教えていただきます。
スーパーテーパード毛とラウンド毛の違いとは
スーパーテーパード毛はブラッシング圧が強いと毛先がはねてしまい、毛先の特徴を十分に活かすことができません。そのため、まずは毛先の特徴を患者さんにお伝えします。
スーパーテーパード毛の特徴として、毛先が細いので狭い歯頸部や歯間部にもしっかり入ることが挙げられます。そのうえで、毛先をほうきで掃くように、プラークにアプローチします。ただ、力を入れすぎると、毛先がはねて歯に当たらなくなってしまうので、注意するようお伝えしています。
術者磨きで磨き方を指導しながらお伝えするので、患者さんは「なるほど」と毛先の違いや特徴を納得いただけます。その際に、メーカーのリーフレットがあればコピーしてお渡しして説明すると患者さんの理解がより深まります。
ラウンド毛は平滑面のプラークコントロールに効果的です。ですが、若い方でも歯肉炎がある方や、歯周治療中・歯周治療後の方などの場合、より狭い歯頸部に近い部分のプラークコントロールにはスーパーテーパード毛をおすすめすることがあります。
可能であれば複数の歯ブラシを使い分けていただく
歯磨剤も歯ブラシも、可能であれば朝夜で使い分けるということもポイントになります。
スーパーテーパード毛の幅広ヘッド歯ブラシは広範囲の汚れが楽に取れるので、高齢の方などにおすすめしています。会社員の方であれば、たとえば疲れているときや時間がないときに幅広ヘッドの歯ブラシでサッと磨くことを提案しています。
ブラッシング圧が強い患者さんでは、SPT用の歯ブラシを使うという方法もあります。
SPT期用の歯ブラシは同じスーパーテーパード毛でも毛が短く密毛であるため、多少ブラッシング圧が強くても歯に当たるのが特徴です。ですが、歯間が大きくなって歯肉退縮がある方だと少し短すぎてしまうことがあります。そのような場合は毛の本数が多く、長さも長い歯ブラシをおすすめしています。どちらの場合でも「密毛」であることはポイントです。
さいごに
提案の際のポイントは、最初からいろいろと説明をしないことです。
結果的に使いこなせず洗面台の飾りになってしまうと意味がありません。「こういうケースではこれが使える」という方法を提案した上で、患者さんが「使ってみます」という返事であればおすすめするようにしています。