今さら聞けない!インプラント周囲粘膜炎・インプラント周囲炎のこと

今さら聞けない!インプラント周囲粘膜炎・インプラント周囲炎のこと

インプラントをしていても天然歯の歯肉炎や歯周炎にあたる症状が起こります。それが、「インプラント周囲粘膜炎」「インプラント周囲炎」です。

インプラントの基本ケアはう蝕・歯周病のハイリスクの患者さんと同等の対応をすることです。

今日は、そもそもインプラント周囲粘膜炎・インプラント周囲炎とは何なのか、プロケア・セルフケアでは何をすれば良いかについてお伝えします。

 

インプラント周囲粘膜炎とは?

インプラント周囲粘膜炎とは、天然歯の場合でたとえると歯肉炎のことです。治療をすれば治ります。

炎症は歯茎のみに起こっており、骨に炎症は及んでいません。ポケットの深さは3~4㎜程度で、プロービングの際に軽く出血があります。

インプラントの場合は痛みを感じにくく、進行が早いという特徴があります。そのため、プロケアと日々のセルフケアでインプラント周囲粘膜炎にならないよう、健康な状態を維持することがとても大切です。

 

インプラント周囲炎とは?

インプラント周囲炎は、天然歯の場合でたとえると歯周炎のことです。インプラント周囲炎にまで進行すると、治療をしても元の状態に戻すことはできません。

炎症は骨にまで進行し、ポケットは深くなり、あごの骨も溶けて失われ始めます。このまま症状が悪化すると骨がさらに破壊され、最終的には抜け落ちてしまいます。

 

プロケアはプロービングがカギ

長期間にわたってインプラントを使用するには、インプラントと歯槽骨のオッセオインテグレーションの維持が必要です。そのために、歯科医院での定期的なメインテナンスと患者さん自身によるセルフケアが必要不可欠です。

プロケアでは、インプラント周囲の状況を的確に把握するためにプロービングを中心に行います。その際のポイントは、次の5つです。

1. インプラント周囲のプラークを肉眼で確認する

2. プロービング時の出血を確認する

3. ポケットの深さを確認する

4. 排膿の有無を確認する(インプラント周囲の組織を押すことでも調べられる)

5. 1年に1回程度エックス線写真を撮影・確認する

 

セルフケア指導では「歯間ブラシ」を活用する

インプラント周囲炎のような炎症の有無を簡単にチェックできるのが歯間ブラシです。歯間ブラシを1箇所ずつ使っていき、もし出血しているようであれば要注意であることを患者さんにお伝えします。

患者さん自ら「おかしい」と気づいていただくことは、セルフケアにとって大きな進歩です。

指導の際には、以下の4つのポイントを中心に指導すると良いでしょう。

1. 歯ブラシは適切な圧力で確実に周囲粘膜に当たるようにする

2. 歯間ブラシは過度の使用はせず、やさしくスクロールさせる

3. 前歯部などでインプラント頸部が深い場合はフロスを使うようにする

4. 7番遠心や歯間空隙が狭い箇所にはワンタフトブラシを活用する

インプラントのセルフケアにおすすめな歯間ブラシの使い方、おすすめの歯ブラシの選び方は別の記事でご紹介しているので、詳しくはそちらをご覧になってください。

インプラント患者さんにおすすめの歯ブラシの選び方

インプラントのセルフケアに効果的な歯間ブラシの使い方

 

まとめ

インプラントのメインテナンスにおいて一番大切なのは、患者さんが歯を失った理由を確認することです。セルフケアは確かに重要ですが、過去のセルフケアが不十分だったためにインプラントになってしまったことが考えられます。

インプラントにしてもインプラント周囲粘膜炎・インプラント周囲炎を発症する場合があるため、患者さんに改めてセルフケアの重要性を認識してもらう必要があります。

う蝕・歯周病のハイリスクのある患者さんと同等の対応で、バイオフィルムをブラッシングで機械的に落とす・殺菌成分が入った洗口液を使うといったケアを基本にして指導をします。

インプラント用の歯ブラシや歯間ブラシなどをセルフケアで活用してもらい、インプラント周囲粘膜炎・インプラント周囲炎にならないように患者さんのモチベーションを高めていきましょう。

※参考資料:「セルフケアガイド インプラントケア編」なかじま歯科医院 院長 中島康先生・歯科衛生士 丸橋理沙先生

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