「口腔内で働く」乳酸菌を知っていますか?
乳酸菌といえば、“腸で働く”というイメージを持っている方は多いのではないでしょうか。
ところが、近年の研究の結果、“口腔内で働く”乳酸菌があるということがわかってきました。患者さんの口腔内ケアにも関連するおすすめの乳酸菌の基礎についてお伝えします。
乳酸菌の役割・メリットとは?
「乳酸菌」と聞いてすぐに思い浮かべるのが、牛乳やヨーグルトといった乳製品や漬物などの発酵食品ではないでしょうか。
乳酸菌といえば、腸内で働いて悪玉菌を減らし、細菌バランスを整えるといったイメージを持っている方が多いと思います。
口腔内で活躍する乳酸菌がある!?
近年の研究によって、口腔内で働く乳酸菌が存在することがわかりました。それが『乳酸菌TI2711(LS1)』です。
TI2711 は「プロバイオティクス」という考えに関連する、口腔内の「善玉菌」と「悪玉菌」のバランスを整え正常な状態に戻していく乳酸菌です。
プロバイオティクスとは、抗生物質(antibiotics)に対比される言葉で、生物間の共生関係(probiosis)を意味する生態学的用語が起源となっています。抗生物質のように有害な菌と同時に有益な菌まで殺すのではなく、元々体内にいる有益な菌を増やして体の健康を守ろうというものです。
参考:乳酸菌【TI2711】(ティー・アイ・2711)の研究技術情報(ライオン歯科材)
これまでのブラッシングによる機械的コントロール、フッ素・IPMPなどによる化学的コントロールに加え、生物的コントロールという選択肢を選ぶことが可能になったのです。
口腔内で働く乳酸菌は口臭や歯周病予防におすすめ!
口腔内で働く乳酸菌の力をぜひ借りていきたいのは、歯周病に対する不安がある方です。
歯周病の原因菌であるジンジバリス菌をはじめとする3菌に乳酸菌TI2711を加えて培養した実験において、24時間で原因菌がほぼ死滅したという結果がでています。
参考:Hiroki Ishikawaら, Suppression of Periodontal Pathogenic Bacteria in the Saliva of Humans by the Administration of Lactobacillus salivarius TI2711 日歯周誌、45(1),105(2003)
最近は歯科用に簡単に摂取できるタブレット製品も発売されていますので、歯周病予防をしたい方にとっての新しいオーラルケアとして提案してみるのも良いのではないでしょうか。
まとめ
口腔内で働く乳酸菌TI2711は歯周病予防に期待できます。
ブラッシングなどの「機械的コントロール」やIPMPなどを用いた「化学的コントロール」に加え、口腔内で働く乳酸菌による「生物的コントロール」も取り入れることでトータルオーラルケアをご提案してみてはいかがでしょうか。