う蝕は増えている?減っている? 3分でわかる「う蝕の最新事情」

う蝕は増えている?減っている? 3分でわかる「う蝕の最新事情」

『忙しくて・・・なかなか新しい知識を勉強する時間がない(>_<)』

歯科衛生士になって2年目になった頃のこと、「ようやく仕事には慣れてきたけど、新しいことを勉強する時間がなかなか取れない」というのが私の悩みでした。

また、患者さんにふと基本的なことを質問された時に「あれ、これで合ってたかな?」と思いながら答えることもあったりして、ちょっぴり不安になることも。

私がいた歯科医院は小人数だったので、気軽に聞ける先輩がいなかったことも悩みの種でした。

このサイトでは、私が歯科衛生士になって2~3年目ぐらいに知っておきたかったことをカンタンに勉強できるようにまとめていきます。

3分程度で最新の情報が手に入るようにまとめていくので、ぜひ通勤の合間にでも読んでください。

 

第1回目は、「う蝕」のこと。う蝕の基本から予防・最新の状況まで、3分でサクッとわかるようにお伝えします。

 

子どものう蝕は激減中!なんと30年前の5分の1に!?※1

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改めて調べてみて『エッ、こんなに!?』って驚いたのはちょっとナイショですが、フッ化物配合歯磨剤やフッ素洗口液の普及によって子どものう蝕はすごく減っています。

文部科学省の調査によると、中学1年生のう蝕の本数は1人平均1本で、30年前の約5分の1に減っているんだそうです。

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さらには、日本の子どもの2人に1人がう蝕を経験したことがないという調査結果も出ています。

予防先進国といわれるスウェーデンでは3人に2人がう蝕経験のない子どもですが、日本も急激に子どものう蝕人口は減り続けています。

『子どもはう蝕にならない』というのが当たり前という時代になりつつあるんですね。

私が子どもの頃はよく歯医者に行って歯を削られていたことを思うと、「時代が変わったんだなぁ」とちょっと年を感じてしまいます・・・。

※1 2015/1/23 時事通信 より引用
中学1年の虫歯本数は1人平均1本で、30年前の約5分の1となったことが23日、文部科学省の2014年度学校保健統計調査(速報値)で分かった。治療が済んでいない未処置歯がある割合も、幼小中高生の全ての段階で過去最低。同省は「歯磨き指導の成果で、早期治療や予防の意識が高まった」と分析している。
調査は、幼稚園と小中高校に通う満5~17歳までの計約333万8000人を抽出して健康診断の結果をまとめた。
平均本数の調査は、歯が生え変わる時期の中1だけで、抜いた歯や治療済みの歯を含む永久歯の虫歯は平均1.00本と過去最低になった。1984年度の調査開始時は平均4.75本だった。

 

一方で、大人のう蝕は40代以上で増加傾向

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子どものう蝕が減っている一方で、大人のう蝕は増加傾向にあります。調査結果によっては、9割の人にう蝕があるというデータが出ていることも。

最近の厚生労働省の調査データを調べてみたところ、特に40代以上のう蝕が増えていることがわかっています。

大人のう蝕の原因としては大きく2つあります。

1.  過去にインレーやクラウンなどをした内部にう蝕ができてしまうケース(二次う蝕)

2. 歯肉が退縮することで根面が露出し、う蝕になってしまうケース(根面う蝕)

今、特に増えているのが2の「根面う蝕」と呼ばれるもの。根面う蝕の有病率も高く、50代であれば45%の人に根面う蝕があります。

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根面う蝕が起こる最大の原因は、加齢や歯周病にかかることによって歯肉が下がり、もともとは歯肉に隠れていた歯の根面が露出してくることです。

根面は歯冠とは違い、プラークが残りやすい上に、象牙質で構成されています。ご存じのように、象牙質はエナメル質より酸に溶けやすくデリケートです。

そのため、一度根面う蝕になってしまうと進行が早く、さらに根面う蝕は歯を取り囲むように進行します。

そのため治療がしにくく、発見が遅れて歯を失うこともあるため、毎日のセルフケアがとても大切です。

 

う蝕を予防するにはどうするのがベスト?

大人のう蝕を予防するには日々の歯磨きが重要なことはもちろんですが、『フッ化物』を配合した歯磨剤やフッ素洗口液を使うのがベストです。

フッ化物には口腔内細菌の働きを弱めて、酸が作られるのを抑える効果があるのですが・・・

フッ化物の話を始めてしまうと少し長くなってしまうので、フッ化物によるう蝕予防の基本から最新情報までをまとめて『フッ化物でのう蝕予防』として次回お伝えします。

ぜひ次回も、お楽しみに!

 

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