予防歯科実践セミナー【講師:内山 茂先生・波多野 映子先生】が開催されました。
2016年11月6日(日)、富士ソフト アキバプラザ アキバホールにて予防歯科実践セミナー『新・PMTC ~よくわかる!メインテナンスの極意~』 が開催され、歯科医師や歯科衛生士を中心に約180人の方々が集まりました。
講師は、内山茂先生・波多野映子先生のお二人。広い会場が満員状態となりました。
まずは頭に入れておきたい「PMTCの3原則」
PMTCのポイントとして、まず波多野先生がおっしゃったのは
・痛くしない
・傷つけない
・急がない
の3原則。この3原則は、内山先生指導のもとでわかりやすく簡潔に、PMTCで重要なことをまとめていくなかで厳選したもので、波多野先生は新人の歯科衛生士さんに指導する際にもこの3原則を心がけているそうです。
医院にいらっしゃる患者さんのなかには「歯科医院=痛いところ・嫌なところ」と思われている方もいらっしゃいます。まずは、この原則を頭に入れて患者さんの気持ちに寄り添って接したいですね。
「速くて一人前、やさしくて一流」
ご講演では、具体的な症例を通して内山先生と波多野先生、それぞれドクターと歯科衛生士の立場からご意見をいただきました。内山先生からは複数の文献を通してエビデンスに関してもいろいろと紹介していただきましたが、内山先生ご自身も患者さんと接するなかでは、時には感覚的なことも大切にしているそうです。
「速くて一人前、やさしくて一流」
内山先生のこの言葉は、私たちが明日から患者さんと向き合う上でも、ぜひ心に留めておきたい言葉です。
患者さんは一人ひとりの置かれている環境が違って、口腔内の環境が違うのもあたりまえ。
「落としたいのは何か」
「それはどこについているのか」
「何のために落とすのか」
「どのくらいの間隔で落とすのか」
など、そのためには患者さんの状態をしっかりと観察すること、こだわって器材を使うことが求められます。知識と技術、これらも患者さんに「やさしく」対応できるように必要不可欠なことですね。
セルフケアでおすすめする用具や製剤についても、患者さんは一人ひとりが違うのに医院に置いてあるものを、ただおすすめするだけでは寂しいし、おかしい。「医院に一通り揃えてあるからこそ、患者さんにとって最適なものがおすすめできる」と、高輪歯科の加藤正治先生の「用具・製剤の処方」という考え方にも触れてお話しされていました。
超高齢社会に求められる医院の役割
講演の最後には内山先生に超高齢社会に求められる歯科医院の役割についてお話しいただきました。
歯科的ケアが必要とされる疾患には関節リウマチ、誤嚥性肺炎、癌、パーキンソン病などが挙げられます。
高齢者に多いこれらの症状の方には普通よりも口腔衛生レベルを高める必要があり、なかなか本人だけではケアできないプロのサポートが必要です。
歯周病による細菌の血管内侵入は命にもかかわることがあります。口腔内の衛生環境は、時に命にもかかわる。だからこそ、歯科医院には確かな技術が求められています。
しっかりと知識を身に付け、技術を磨くことの大切さ。そして、一人ひとりの状況が違うからこそ、しっかりと患者さんに向き合い、生活や置かれている環境を知り、寄り添う姿勢が大切だということを改めてお二人のお話から学びました。
明日からさっそく実践に使える気づきや刺激がたくさん得られた内山先生・波多野先生の講演。
参加された皆さま、お疲れさまでした。ありがとうございました。