「患者さんから歯ブラシ・歯間ブラシ・フロスの使用順を聞かれることがあります。その場合、先生はどのように答えられますか?」
今回も、前回に引き続き埼玉県の古畑歯科医院にお勤めの波多野映子先生に「歯ブラシ・歯間ブラシ・フロスの使用順」について教えていただきます。
基本は1.歯ブラシ、2.歯間ブラシ、3.フロスの順
基本的には、歯ブラシ・歯間ブラシ・フロスという順です。ですが、絶対この順番である必要はありません。最初はこの順番で指導しますが、最終的な目的は「プラークが取れること」なので、患者さんが好きな順番でやっていただいてもらっています。
患者さんの中には歯間ブラシ・フロスのどちらかでよい方もいます。最近では4Sといった非常に小さいサイズの歯間ブラシがありますが、フロスの中には膨れてフワフワになるタイプもあるので、歯間が広くない方であればフロスで十分です。その場合は歯ブラシのあとにフロスという順番です。フロスを使っても歯間部にプラークが残ってしまう場合は歯間ブラシが必須です。
使う道具が3種類となると患者さんも大変です。だからこそ「順番はどうすればいいの?」という質問もでてくるわけです。どのポイントに重点を置くのかを明確にし、使う道具はなるべく少なくするのが良いでしょう。たとえば、患者さんによっては補綴物が入っている部分だけは歯間ブラシを使ってもらっている方もいます。
プラークが取れていれば順番は関係ない
なかには歯間ブラシ・歯ブラシの順番で使う方もいらっしゃいますが、プラークが取れていればそれを無理に修正することはありません。患者さんのやりやすい方法で大丈夫です。
たとえば、最初に歯間ブラシやフロスで隣接面のプラークを取っておいてから歯ブラシをする方もいらっしゃいます。その場合は、平滑面についているプラークを歯ブラシで押し込んでしまわないように、注意点を説明した上でプラークコントロールができていれば問題ありません。他にも、ブラッシングは面倒だから先に済ませて、その後に歯間ブラシを使う患者さんもいらっしゃいます。
さいごに
最初こそ歯ブラシ・歯間ブラシ・フロスという順で指導しますが、順番に正解はありません。プラークが取れていれば患者さんが行っている順番を無理に変える必要はありません。
患者さんの負担を減らし使いこなしていただくためにも、最初は歯ブラシに加え、歯間ブラシ・フロスのどちらかを加えます。それでも歯間ブラシとフロスの両方が必要だということであれば、プラークが残ってしまう部分にのみ使うほうが無理はないでしょう。