必ず押さえておきたいドライマウスのいろは
高齢社会が到来している現在の日本では、ドライマウスで悩む患者さんが全国に約800万人いるといわれています。
さらに、潜在的な「ドライマウス予備軍」まで含めると3,000万人になるとも言われ、単純計算で4人に1人がドライマウスになる可能性があるということになります。
ドライマウスの原因の一つには加齢や薬の副作用があるため、今後、高齢社会がさらに進むにつれて、ドライマウスの患者さんも増え続けることが予想されます。
今日は、そんな超高齢社会の到来に備え、『必ず押さえておきたいドライマウスのいろは』についてお伝えします。
ドライマウスの主な症状とは?
「いつも口が渇いていると感じる」
「喉がガラガラする」
「唇が切れる」
「義歯を装着するときに痛む」
などの訴えが患者さんからあったら、それはドライマウスのサインかもしれません。
ドライマウスになることで、
1.口唇の乾燥や亀裂・口角炎ができる
2.歯肉表面の乾燥により根面う蝕になりやすくなる
3.舌苔がたまり口臭が悪化する
4.義歯装着時に痛む
5.舌のひび割れ・痛みが起こる
6.歯周病が悪化する
7.摂食嚥下障害が起こる
8.味覚障害が起こる
といった症状が出るようになります。
ドライマウスが起こってしまう原因とは?
ドライマウスは、さまざまな要因で唾液の質が変化し、分泌が減ることで起こります。
原因としてはさまざまな理由が考えられますが、高齢者の方であれば薬の副作用は見過ごせません。降圧剤、利尿剤、抗けいれん薬、抗うつ薬など数百種類もの薬剤が口の渇きに関連しています。
「村上恵子:高齢期の根面う蝕ストラテジー 歯科衛生士35(10)2011.より引用改変」
その他、加齢によって唾液の分泌が減ることをはじめとして、喫煙などの生活習慣、エアコン、十分に咀嚼しない食生活や更年期障害によるホルモンバランスの乱れ、ストレスなどがドライマウスの原因となります。
医院で実際に使われているドライマウス患者さんへのケア法
ドライマウスのサインを見つけた場合に最初にすべきことは「原因の特定」です。
「飲んでいる薬はなにか?」
「喫煙はしているか?」
「食事の時は十分に噛んでいるか?」
といった問診を行い、原因の特定をしていきます。
ドライマウスそのものを改善するためには、原因となっている要素を改善するのが必須ですが、
手軽な方法としてドライマウス用の口腔湿潤剤を使う方法があります。
湿潤剤にはジェルタイプ・液体タイプ・スプレータイプなどがありますが、
スプレータイプは口腔内の保湿だけでなく、薬品の嫌な味を軽減する使い方もできます。
チェアーサイドでは、
・口唇/口角の乾燥や亀裂に対して診療前に保湿する
・治療中の歯肉・粘膜・舌への刺激緩和のためにスプレーする
・出血の後味、麻酔やセメントなどの不快感の緩和にスプレーを利用する
・義歯にスプレーをして、義歯装着時の痛みの緩和をする
といった活用をしている歯科衛生士さんもいらっしゃいます。ぜひ、参考にしてみてください。
まとめ
超高齢社会の到来に伴い、これからドライマウスの患者さんはますます増えていくことが予想されます。
それに伴い、う蝕や歯周病の治療だけをするのではなく、ドライマウスの患者さんの対応をする機会も増えてくることでしょう。
ドライマウスはう蝕や歯周病の悪化の要因となるため、ドライマウスの患者さんはより適切なケアが必要になります。
口腔湿潤スプレーはセルフケアで保湿ができるだけではなく、チェアーサイドで不快な症状を減らすこともできるので、
ぜひ、歯科医院に1本置いて使ってみてはどうでしょうか。