【保存版】電動歯ブラシは実際どれほど効果がある?
「電動歯ブラシっていいんですか?」
現場で聞かれる質問の中でも頻出の質問の一つではないでしょうか。
電動歯ブラシを使用すれば、手磨きにかけるのと同じ時間ブラッシングをするのでも効率的にプラークを落とすことができます。
しかし、電動歯ブラシといってもさまざまな種類があるため、種類ごとの特徴を理解しておくことが大切です。
今日は、『電動歯ブラシの種類・用途の違いと、電動歯ブラシは実際どれほど効果があるのか?』についてお伝えします。
電動歯ブラシの種類・用途の違いとは?
電動歯ブラシは、もともと手が不自由で歯ブラシを適切に使えない方のために開発されました。
ご存じのように、今では技術の進歩により「音波ブラシ」や、より振動数が高い「超音波ブラシ」といった製品が販売されています。
音波ブラシはブラシが高速で振動することで、簡単にプラークを落とすことができるのが特徴です。
製品によって振動数や振動の幅・毛先の形状などが異なり、通常の手磨きの代替としてだけではなく、用途別で使い分けている方もいらっしゃいます。
用途別の製品としては、
・歯周ポケットに存在する歯周病の原因菌の刷掃能力に優れている製品
・歯肉ケアに特化した製品
・自然な白い歯を取り戻したい方のための製品
・替えブラシによって用途を使い分けることができる製品
などがあります。
悩みに応じて最適な電動歯ブラシを選ぶサポートをするのも歯科衛生士さんの役割の一つかもしれませんね。
電動歯ブラシのメリット・デメリット
電動歯ブラシは目的の部位に毛先が当たれば簡単にプラークを落とすことが可能です。
そのため、手磨きが苦手な方や、より高いレベルのプラークコントロールを目指す方、歯周病ケアとして有用なツールです。
しかし、高すぎる振動数は歯肉に刺激を与え、歯肉周縁部を磨くことを敬遠しがちになる場合があります。すると十分なブラッシング時間が確保できず、歯肉周縁部のプラークコントロールが適切にできないという結果につながります。
また、通常の歯ブラシに比べると太く、重いため、長時間使うには向かないといったデメリットもあります。
患者さんの状態や生活習慣をもとに、毛先が歯肉に優しい製品を使うなど、最適な製品や毛先の当て方を指導することが大切です。
電動歯ブラシの臨床での活用例
・ブラッシングが苦手な方に
ブラッシングに対するモチベーションが低い方、歯磨きが苦手な高齢者の方でも、簡単にプラークを落とせる使いやすさと気持ちよさでモチベーションの改善が期待できます。
・歯肉炎・歯周炎のケアに
大人はもちろん子どもの歯肉炎・歯周病にも電動歯ブラシは効果的です。歯肉に用いる場合は、毛先が歯肉に対して優しい製品を使うのがポイントです。
・審美修復治療にともなう歯肉のケアに
歯肉が薄くてデリケートな方でも、ブラッシング圧や振動の速度を調節することで歯肉の状態を上手にコントロール可能です。
・インプラント治療のケアに
インプラントのようなセルフケアが難しい場合でも、電動歯ブラシを使うことで効果的にプラークを落とすことが可能です。
・矯正治療時の歯肉ケアに
矯正バンドやブラケットが装着されている周辺は特にブラッシングが難しいポイントです。電動歯ブラシを用いれば、より簡単にプラークコントロールができます。
電動歯ブラシと手磨きは、どちらが効果的?
たとえば3分間のブラッシングというような、同じ時間で歯を磨くことを想定した場合、手磨きよりも電動歯ブラシを用いたほうが効率的なプラークコントロールが可能です。
しかし、電動歯ブラシには向き不向きがあることに気をつける必要があります。
手磨きができていない方が電動ブラシを使ったからといって、プラークコントロールがよくなるわけではありません。
ブラシの当て方や圧のかけ方など、手磨きと同じような歯磨きのやり方を患者さんが知っておくことは必要です。
また、歯肉が弱っている高齢者などが使う際には、振動の刺激で歯肉を痛めてしまう場合もあり、歯肉に優しい製品を使うのがポイントです。
まとめ
電動歯ブラシは手磨きと同様に、歯科衛生士さんによるきちんとした歯ブラシ指導が必要です。
夜はきちんと手磨きをするのが理想ですが、使える時間によって手磨き・電動歯ブラシの使い分けをしてもらうのも一つの手です。
高齢者の場合は歯肉退縮が起きている人が多いので、歯肉に優しい製品を使うこと、手が疲れないように電動歯ブラシ本体の“軽さ”も気にすることがポイントです。
私も先輩から勧められて試してみるまでは使ったことがなかったのですが、今ではすっかり大ファンになってしまいました。
まだ使ったことがない方は、ぜひ一度ご自身で試してみてくださいね。