【保存版】患者さんごとに最適な歯ブラシが見つかる歯ブラシ一覧表
当たり前のことですが、口腔内環境は患者さんごとに違いがあります。
歯並びが良いAさん・Bさんがいらっしゃったとしても、口の大きさ、頬粘膜の柔軟性、そして歯の大きさ、一歯一歯まで見ていくと必ず違いがあります。そのため、Aさん・Bさんともに同じ歯ブラシで良いとは限りません。
常に最適な提案ができるようになるためには、まずは歯科衛生士さん自身がいろいろな種類の歯ブラシを使ってみることが大切です。
今回は、『患者さんごとに最適な歯ブラシが見つかる歯ブラシ一覧』についてお伝えします。
そもそも歯ブラシの違いとは?
言うまでもなく、歯ブラシの特徴は毛先・ヘッド・ハンドルの違いによって決まります。
・毛先の違い
毛先は長さ・密度・毛の硬さによって使用感が決まります。歯ブラシの使用感による硬さの表示と法律による歯ブラシの硬さの表示は異なることもあるので、こちらの記事も参考にしてみてください。
▼やわらかい毛先の歯ブラシなのに、毛の硬さが「ふつう」と表示されることがある理由
先端極細毛
歯肉へのストレスが少なく、やさしい磨き心地の毛先です。歯周病の患者さんにもおすすめできます。また、狭い歯間部や歯周ポケットにも毛先が到達するので、磨き残しが少なくなります。
ラウンド毛
歯面への高いプラークコントロール性があり、さらに、歯肉を痛めにくく、しっかりとしたブラッシングが可能です。
・ヘッドの違い
幅広ヘッド
歯科医院での調査では、コンパクトヘッドの歯ブラシで上手く磨けない患者さんの割合は約2人に1人(※)。幅広ヘッドの歯ブラシは歯面から歯頸部・歯肉まで効率よく磨けるのが特徴です。コンパクトヘッド歯ブラシが苦手な方におすすめです。
※2007年3月、13歯科医院にて調査
超薄型ヘッド
狭い口腔内のすみずみまでしっかりブラッシングが可能です。磨き残しが多い最後臼歯部のプラークも効果的に除去できます。臼歯部の磨き残しが多い方には特におすすめです。
・ハンドルの違い
ストレートハンドル:ペングリップでコントロールしやすいのが特徴です。
太い曲面ハンドル:ペン、パームなどのさまざまな握り方に対応できます。
弾力ラバーグリップ:フィット感があって、ラバーのために滑りにくく、持ちやすいのが特徴です。
ラウンドハンドル:太めの設計でさまざまな握り方に対応できます。
患者さんの年齢・タイプ別おすすめの歯ブラシ一覧
患者さんの年齢や症状によっておすすめする歯ブラシの種類はさまざまです。それらを簡単に見渡せるように一覧表にしてみたので、ぜひ歯ブラシ選びの参考にしてみてください。
歯科医院での実際の事例:歯科衛生士の横山先生が行っている『歯ブラシパック』
歯科衛生士の横山朱夏先生が実際に行っている方法を聞いて「なるほど!」と思ったのが『歯ブラシパック』という考え方です。
患者さんと自分の口は違うという考えから、横山先生は自分が好きな歯ブラシ・使いやすいと思っている歯ブラシを患者さんにおすすめすることはないそうです。
日々移り変わる口腔内の状態に対して、「これ1本でいつでも100%大丈夫」という魔法の歯ブラシはありません。だからこそ、横山先生は複数の歯ブラシセットを1単位と考える『歯ブラシパック』という考え方を取り入れています。
たとえば、歯周病の患者さんには「歯周病を改善するためには歯ブラシで1,500円くらいかかるかもしれません。いろいろな歯ブラシを提案させてください」とお伝えするそうです。
歯ブラシは、最初は歯肉にやさしいやわらかめのものからスタートして、次はもう少しヘッドの大きい歯ブラシに変えます。また、使用していないブラシに興味を持って頂く為に歯間ブラシやワンタフトブラシを先に処方する場合もあります。
歯ブラシの説明をして実際に患者さんに使っていただき、次回に磨き残しがあればまた別の歯ブラシを提案してみる。上手くいったらステップアップ、まだ磨けていないようであれば次の歯ブラシを試してみる。これを繰り返し行います。
横山先生は患者さんへ順番に歯ブラシを渡していき、来院3回目くらいで歯ブラシパックの全てを渡し終えるそうです。
「そうすることで、患者さん自身も『これが気に入った』という歯ブラシが見つかる可能性も高くなりますよね」、とは横山先生のお言葉です。
まとめ
何はともあれ、まず必要なのは「試してみる」こと!
私も若い頃は医院で採用している歯ブラシをそのまま患者さんに勧めていましたが、「プロなのだから、自分で使ってみて選ぶことも必要だよ」と先輩に教えていただきました。
ぜひ、いろいろ試してみて、ご自身で歯ブラシの違いを体験してみてください。