今さら聞けない「歯間ブラシ」と「フロス」の違い
別の回で『歯間ブラシの「最適なサイズの選び方」と「患者さんへの指導法」』についてお伝えしました。
実は、歯間ブラシ関連でもう一つよく聞かれる質問があります。それは・・・
『歯間ブラシを使えばフロスは使わなくて良いの?』
という質問です。
結論からいうと、歯間ブラシとフロスは併用することで、さらなるう蝕予防、歯周病予防を期待できます。
今日は、歯間ブラシとフロスの違いと、フロスはこんな使い方もできるという事例をご紹介します。
歯間ブラシを使っていればフロスは必要ない??
すでに歯間ブラシを使っている方でも、フロスを併用することをオススメします。
歯間ブラシは歯と歯の隙間の清掃に向いていますが、狭い隙間には使うことができません。一方、フロスは広い隙間の清掃には向いていないものの、狭い隙間にも使えるのが特徴です。
このように、歯間ブラシとフロスはお互いの欠点を補う関係にあるため、併用することで効果的にう蝕予防や歯周病予防ができます。
歯と歯の隙間のう蝕が多い子どもにはフロスが特にオススメです。
フロスは毎食後に使うのが理想的だけど・・・
フロスの使い方としては、可能であれば毎食後に使うのが理想的です。
ですが、朝は忙しく、昼は会社という方が多くいらっしゃいます。毎食後使っている方は少なく、ほとんどの方が寝る前のみ使っているのが実情です。
中には「歯ブラシ・フロス・歯間ブラシを全部使わなきゃいけないの?」とおっしゃる患者さんもいらっしゃいます。
このような方には根気よくう蝕や歯周病のリスクと、それぞれの製品のメリットを説明して納得していただくしかありません。
私の場合は、「まずはフロスと歯間ブラシを1日1回寝る前だけで良いので使ってみませんか?」とご案内しています。
この場合も患者さんの生活状況に合わせてご提案していくのが、続けていただくポイントです。
昼に歯磨きができない人にはこんな提案も可能!
フロスにはミントフレーバーなどがついている製品があります。
昼食後に歯磨きができない場合は、フレーバーがついたフロスを使うだけでも口の中がスーッとした感じになり、スッキリできます。
これはメーカーの担当さんから教えていただいたのですが、外回りのお仕事など、昼食後に歯磨きをするのが難しい方にオススメの使い方です。
この方法、意外と気に入ってくれる方もいらっしゃるので、患者さんのお仕事が営業などであればオススメしてみてはどうでしょうか?
使ったら出血してしまう場合はどうする?
フロスを使い始めた頃に出血をすることがありますが、心配はいりません。
出血する原因としては、フロスで歯肉を傷つけた、歯肉に炎症が起こっている、という2パターンが考えられます。
患者さんの多くは「歯ぐきを傷つけてしまったのかな?」と不安になりますが、ほとんどは炎症が起こっているケースです。
炎症が起こっている部位は血流が悪くなるため血液がたまり(うっ血)、わずかな刺激でも出血してしまいます。
そのため、フロスで刺激されることで出血が起こるのですが、たまっている悪い血を排出することになるので血流の改善が期待できます。
毎日使用することで次第に出血が少なくなっていくので、気にする必要はありません。ただし、2週間ほど出血が続くという場合は再度来院してもらうようにお伝えした方が良いでしょう。
まとめ
歯間ブラシとフロスはそれぞれお互いの欠点を補い合う製品です。併用して使うことでう蝕や歯周病を効果的に予防できます。
ただし、歯ブラシ・フロス・歯間ブラシの3種類を毎食後に使うとなるとハードルが高くなってしまいます。
そのため、患者さんには、フロス・歯間ブラシともに「まずは寝る前に1日1回使ってみませんか?」とご案内するのがコツです。
フロス・歯間ブラシをまだ使っていない、もしくは片方しか使っていない方は、まずはご自身が1日1回試しに使ってみてはいかがでしょうか。