誰も教えてくれない、市販と歯科用の歯磨剤の違いとは?
『市販の歯磨き粉と歯科医院で買う歯磨き粉の違いは何ですか?』
現場で歯磨剤をおすすめした時に患者さんから時々いただく質問です。
確かに、歯科用の歯磨剤は市販のものに比べると値段が高いため、何かしらのメリットがないと患者さんとしては納得して使うことができません。
市販品との違いは、使用している成分の違いや使っている成分は同じでも、配合比の違いというのがよくあげられますが、それにプラスして、ズバリ!歯科衛生士さんの「指導」があるかないかが大きな違いではないでしょうか。
今日は、『市販の歯磨剤と歯科用歯磨剤の違い』についてお伝えします。
歯科用の歯磨剤の値段が市販品より高い理由とは?
歯科用の歯磨剤は市販品より値段が高くなっていますが、「指導」に対する価値が入っていることが一番大きなポイントです。
たとえば、歯科用にはう蝕予防用に低発泡・低香味でフッ素が含まれた製品があります。
ご存じのように、低発泡だと歯磨き後の少量洗口が可能で、口腔内のフッ素濃度を高く維持できるメリットがあります。皆さんが少量洗口の方法を指導することで、そのメリットを最大限活かせるということです。
一方、昔に比べ今では、市販品にもフッ素が含まれている製品は多くあります。
ですが、「少量洗口」などの知識をドラッグストアの店員さんが教えてくれることはほぼありません。
また、歯科用のように低発泡な製品があまりないということもあり、少量洗口自体が現実的に難しいということもあります。
一番大切なのは、自信を持っておすすめすること
歯科用の歯磨剤には、先ほども触れた「低発泡・低香味」のように市販品にはない付加価値を持つ製品も存在します。
ですが、一番大切なことはプロとして自信を持っておすすめすることです。最初はなかなか「自信を持って患者さんにすすめる」というのは難しいかもしれません。
言うまでもありませんが、口腔内の状態を患者さん自身が100%把握するのは困難です。
そのため、「この製品で患者さんの悩みが解決するのが明らか」であれば、ぜひおすすめするべきだと私は思っています。
ただ、ここで注意しなければいけないのは、患者さんの口腔内の状態がよく、今使っている市販品で十分だと判断できる場合は、無理に歯科用の歯磨剤に変える必要はないということです。
歯磨剤を変えてもらうかどうかというさじ加減も“プロの判断”ですね。
まとめ
自分自身の口腔内の状態(う蝕リスクや歯周病リスク)を100%理解している患者さんはほとんどいません。
患者さんはスーパーやドラッグストアで好きな歯磨剤を購入する傾向がありますが、現在の口腔内のリスクをしっかり把握した上で歯磨剤を選んでもらうようにしましょう。
定期的に歯科医院で健診を受けていて、口腔内の状態も良ければ使用中の市販のものを無理やり変える必要はありません。
プロの目線で自信をしっかり持って、どの歯磨剤がおすすめなのかを伝えることが大切です。