根面う蝕はなぜ多い!?「象牙質」と「エナメル質」の違いとは?

根面う蝕はなぜ多い!?「象牙質」と「エナメル質」の違いとは?

高齢化が進む日本。大人のう蝕が増えています。

加齢や歯周病によって歯肉が退縮し、露出した根面にう蝕ができやすくなります。
その原因は象牙質とエナメル質の違いにあります。
根面は柔らかい象牙質のため、エナメル質部分に比べてリスクが高く、う蝕になりやすいのです。
きちんとメインテナンスしている人でも、3ヶ月後にう蝕が進んでいたなんていうことも・・・。
根面う蝕は、予防がとにかく大切です。

今日は、根面う蝕の予防に必須の知識である『象牙質とエナメル質の違い』についてお伝えします。

 

象牙質とエナメル質の構造の違い

エナメル質と象牙質は構成成分や硬さに違いがあります。

ご存じのように、エナメル質はほとんどがミネラルでできています。エナメル質のう蝕は酸によりミネラルが溶出し、
表層化脱灰が起こります。
一方、象牙質はミネラルが7割、コラーゲンと水が3割を含む構成です。

象牙質のう蝕は酸による「ミネラルの溶出」と「コラーゲンの分解」の2つの要因によって起こります。

 

根面がう蝕になりやすい理由

さらに、根面がう蝕になりやすい原因としては、この象牙質の性質が影響しています。

エナメル質の臨界pHは5.5~5.7と少し酸性側に傾いています。
一方、象牙質はpH 6.0~6.7となっており、乳歯エナメル質と同等かそれ以上の中性に近いところで脱灰します。

より中性側で脱灰が起こるため、エナメル質よりもう蝕になるリスクが高いのです。

 

歯周病の治療と根面う蝕は密接な関係が!?

根面う蝕は、歯肉退縮により根面が露出することで発症します。

最も多い要因は、歯周病により歯周組織の破壊が起こり、炎症が治まった際に歯肉が引き締まることによるもので、
歯周治療と根面う蝕は密接な関係にあります。

図

「歯周病が安定した!」という段階でも油断は禁物で、露出した根面のう蝕予防が大切です。
治療でせっかく残した歯を根面う蝕で失わないようにプロケアとセルフケアで守りましょう。

 

まとめ

根面う蝕は歯を取り囲むように進行するため、治療がしづらく、発見が遅れて歯を失う可能性もあります。
いつまでも自分の歯で噛むためには、根面う蝕を予防することが一番!予防には毎日のセルフケアが大切です。

・エナメル質に比べて柔らかい象牙質は、「ミネラルの溶出」と「コラーゲンの分解」によりう蝕が進みやすい。
・エナメル質に比べて臨界pHが高く、エナメル質よりもう蝕になるリスクが高い。

しっかりした予防をするためには、まず象牙質とエナメル質の性質の違い、象牙質のう蝕が起こるメカニズムについて知っておきましょう。

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