インプラント患者さんにおすすめの歯ブラシの選び方
『うちはインプラントやっていないから関係ないかな?』
と思った歯科衛生士さんは要注意!
インプラントを入れた患者さんは継続して、そこの歯科医院に通うとは限りません。
あなたの医院にも、突然どこかの歯科医院でインプラントをした患者さんが来るかもしれません。そのため、インプラント患者さんのメインテナンス法についてはしっかり知っておく必要があります。
今日は、『インプラント患者さんにおすすめの歯ブラシの選び方』についてお伝えします。
一番大切なことは、インプラントをするに至った理由を把握すること
インプラントのメインテナンスにおいて一番大切なことが『歯を失った理由』の把握です。
インプラントを必要としている方は、例えばセルフケアが十分ではないために口腔内の環境が悪化し、インプラントになるというパターンがあります。
そのため、いきなり「セルフケアが大切です」とセルフケアの重要性を説いても、理解して実践してもらうことは難しい、ということを歯科衛生士さんが理解しておく必要があります。
仮に、そもそも歯をなくした原因が歯周病であれば、それは歯周病のリスクが高いということです。
今までと同じようなケアを指導してもモチベーションが上がらず、他の天然歯まで歯周病になるリスクがあります。
インプラント部位をきちんとケアすることはもちろん、他の歯も同じことを繰り返さないようにケア・指導していくことが大切です。
インプラントの基本ケアは、う蝕・歯周病のハイリスク者と同じ対応
インプラントの場合でも、歯肉炎や歯周炎にあたる症状が起こります。
インプラント周囲粘膜炎(歯肉炎にあたる)は治療すれば治りますが、インプラント周囲炎(歯周炎にあたる)は治療しても元に戻すことはできません。
さらに、インプラントの場合は痛みを感じにくく、進行が早いといった特徴があります。
そのため、インプラントのメインテナンスでは、う蝕・歯周病のハイリスク者と同じ対応が必要です。
バイオフィルムをブラッシングで機械的に落とす、殺菌成分が入った洗口液を使うといったケアが基本になります。
インプラント患者さんへのセルフケア指導
インプラント患者さんには歯間清掃だけではなく、歯肉のチェックが同時にできる
『歯間ブラシ』がおすすめです。
<指導のポイント>
・ブラッシングの際に毛先がインプラント歯頸部や歯間空隙に届いているかを確認します。
・歯間ブラシを使用した際に、どの部分から出血しているのか、まずは出血することに関心を持ってもらうことも大切です。
・歯列と歯間ブラシの柄を平行にすると臼歯部に入りやすいなど、部位ごとの挿入方法を指導します。
・部位によって隙間も変わるため、隙間に合わせて複数のサイズを使い分けることを伝えます。
インプラント専用の歯ブラシもある
メーカーによっては「インプラント専用」の歯ブラシを出しているところもあります。
抜糸後のデリケートな歯肉のケアに最適なものや、歯頸部にしっかり毛先が入り込むようになっているものなどがあります。
『インプラント専用の歯ブラシですよ』
というと患者さんに説明しやすいという歯科衛生士さんもいらっしゃるので、迷った時はそのような声かけ方法も良いと思います。
歯科衛生士さんからインプラント患者さんに伝えたい4つのこと
1.インプラントは痛みを感じにくいことを理解してもらう
インプラントは歯周トラブルによる痛みを感じにくいため、日常のセルフケアをしっかり行うことが大切です。
2.出血に気づいたらまずは連絡してもらう
インプラント周辺の炎症を放置すると炎症は悪化していきます。出血に気づいたら、まずは医院に連絡してもらうようにします。
3.メインテナンス間隔を決める
通常3~6ヶ月間隔で行うメインテナンス。歯間ブラシに血液がつかなくなり、炎症がなくなるまで管理していきます。患者さん自身のプラークコントロールの状況に応じて間隔は決まります。
4.磨けていることを感覚で覚える
日々のセルフケアを確実なものにするために、ブラシが当たって磨かれている感覚をTBIの際に患者さん自身に覚えてもらうことが重要です。
まとめ
インプラントのメインテナンスは、う蝕・歯周病のハイリスク者のケアに準じます。また、歯間の隙間サイズに合わせた歯間ブラシを使うことで効果的にプラークを除去できます。
最初にやるべき大切なことはインプラントになった原因をしっかり把握し、同じ原因で他の天然歯がなくなることを防ぐことです。
歯間ブラシやインプラント専用の歯ブラシを活用して、しっかりセルフケアできるよう患者さんの意識を高めていきましょう。