SPT期の3つのケア要件と製品選びのポイント
歯周病は再発させないことが大切です。したがって、病状安定となった歯周組織を維持するための治療であるSPT期は非常に重要です。
SPT期にはケアの要件として、以下の3つがあります。
・細菌の殺菌・除去
・歯肉を痛めない
・歯肉を健康に保つ
この要件を基に、患者さんがセルフケアで使う際のおすすめの製品にはどのような成分が含まれていると良いのかをご紹介します。
「そもそもSPTってなんだっけ・・・?」という方は、まずこちらをお読みになってください。
▼今後の歯周病治療のカギは「SPT」。SPT(サポーティブペリオドンタルセラピー)って何だろう?
【要件1】細菌の殺菌・除去
歯周病のリスクコントロールには、口腔内細菌の殺菌・除去は欠かせません。「細菌」には「浮遊性細菌」と「バイオフィルム」の2種類があります。
浮遊性細菌の殺菌におすすめなのはCHX(クロルヘキシジン)や、低濃度から浮遊性細菌に対して効果があるCPC(塩化セチルピリジニウム)を含む洗口液です。
一方、CHXやCPCはバイオフィルムに対してはほとんど効果がありません。バイオフィルム対策には、IPMP(イソプロピルメチルフェノール)を含む洗口液が有効です。
CPCなどの殺菌剤はバイオフィルムに浸透できないため殺菌効果を十分に発揮できないのに対し、IPMPだけがバイオフィルムの内部まで浸透し、優れた殺菌効果を発揮します。
また、歯周ポケット・歯間部などの狭い隙間に容易に到達する毛先を備えた歯ブラシを使い、バイオフィルムを機械的に除去することも大切です。
※参考リンク
【要件2】歯肉を痛めない
歯肉を痛めないように物理的負荷をかけないことも大切です。
そのためには、歯肉に優しい無研磨のジェル歯磨剤や、柔らかい毛先を持つ歯ブラシを使用するようにします。
【要件3】歯肉を健康に保つ
歯肉を健康に保つために必要なことは、「歯肉の活性化」と「炎症・出血を防ぐ」ことです。
「歯肉の活性化」に効果的な成分としては歯肉の血行を促進するビタミンE(酢酸トコフェロール)、「炎症・出血を防ぐ」ことに効果的な成分としては抗プラスミン効果のあるイプシロンアミノカプロン酸があります。
これらが含まれた無研磨ジェルタイプの歯磨剤は、日々のセルフケア用として最適です。
まとめ
大切なことなので繰り返しになりますが、SPT期にはプロケアとセルフケアの両立が大切です。
ご紹介したケアの3つの要件を基に、患者さんの状態やセルフケアの程度に応じた製品を選択できるようにしましょう。
「おすすめすべき成分はわかったけどトークが苦手・・・」という方は、以前にこのようなテーマを取り上げているのでこちらもご確認ください。