歯科疾患実態調査から見る歯科の実際 ~歯肉の状況、歯ブラシ・歯間清掃用具の使用実態について~
5年に1回実施される歯科疾患実態調査。前回の記事では子どものう蝕が減っている一方、大人のう蝕は増えているという事実をお伝えしました。
今回は歯科疾患実態調査から『年齢別の歯肉の状況推移と、歯ブラシやフロス・歯間ブラシなどの歯間清掃用具に関する使用の実態』についてご紹介します。
歯周ポケットを有する割合は高齢者で顕著に増加
4mm以上の歯周ポケットを持つ割合については、ほぼすべての年代で高値を示し、特に高齢者で顕著に増加していることが今回の実態調査で明らかになりました。
また、歯肉の出血については、15歳以上の年齢階級で30%を超え、30歳以上55歳未満で40%を超える結果となりました。
毎日2回以上歯磨きをする人は着実に増えている
毎日歯を磨く人の割合は95.3%でした。2回以上磨く人の割合も増えていて、今回の調査では77.0%になっていることがわかります。
フロス・歯間ブラシの使用率については改善の余地あり
デンタルフロスや歯間ブラシを用いた歯間清掃を行っている人は30.6%、舌清掃を行っている人は16.6%でした。
そのなかでも、40~70代の女性は5割以上がデンタルフロスや歯間ブラシを用いた歯間清掃を行っていることが明らかとなりました。
まとめ
歯周ポケットを有する人の割合は特に高齢者で顕著に増加していました。それだけでなく、25歳以上~45歳未満の人では約3人に1人が、45歳以上では約2人に1人が4mm以上の歯周ポケットを有しており、それだけ全年齢で歯周病のリスクが高くなっていると言えます。
1日2回以上歯を磨く割合は増加しているものの、フロスや歯間ブラシに関しても全体の使用率は30%程度とまだ低い状況です。今後はこの数値を改善していくことが、口腔環境を良くしていくポイントの一つといえるでしょう。