美白歯磨剤の役割と“意外な”おすすめのしかた
皆さまは、美白歯磨剤をどのように患者さんにおすすめしていますか?
ご存じのように、美白歯磨剤は医院でホワイトニングした状態を長く保つのが役割で、歯磨剤自体でプロケアと同等のホワイトニングができるわけではありません。
そのため、私は今までホワイトニングをした方には基本的にはう蝕予防のフッ素配合の歯磨剤か、歯周病予防の歯磨剤をすすめていました。
ちょうど先日、メーカーの勉強会に参加して「こんな使い方もあったんだ!」という気づきがあったので、今日は『美白歯磨剤の役割と意外なおすすめのしかた』についてお伝えします。
美白歯磨剤のそもそもの役割は「ステインを落とすこと」
冒頭でも書いたように、美白歯磨剤の役割はプロケアと同等のホワイトニングではなく、ステインを落とすことです。
ステインは基本的に研磨剤で落とします。
たばこのヤニは高研磨のものでないと落とすのは難しいのですが、最近では歯牙に優しい方法でステインを落とすのが主流になっています。
セルフケアの美白歯磨剤に使われる成分としては、ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)などがあります。
一方、プロケアのホワイトニングで使われるのは過酸化水素という漂白剤です。
成分から見ても、プロケアとセルフケアの美白は全く別物であることがわかりますね。
美白歯磨剤に使われる4つの成分の特徴
先ほど紹介した4つの成分は、成分ごとにそれぞれ特徴が異なります。ここでは、4つの成分の特徴を簡単に紹介します。
ピロリン酸ナトリウム
ステインを浮かせて落とします。ステインが歯の表面から浮き上がるため、ブラッシングによりステインを簡単に除去することができます。
ポリリン酸ナトリウム
ステインを落とすと同時に、歯面をコーティングすることでステインの付着を防ぎます。
ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)
ステインを溶かして落とします。
ジェルタイプの歯磨剤を使っている患者さんにおすすめ!
メーカーの方に聞いて知ったことですが、美白歯磨剤はフッ素ジェルや歯周病用ジェルを使用している方に併用してもらうことも有効だそうです。
ジェルタイプの歯磨剤は口腔内に成分を長く残すことを目的としているため、「発泡剤微配合」「清掃剤無配合」といった低発泡の設計になっています。
そのため、ジェルだけではステインが十分に除去しきれず、ステインが付着していくことがあります。
そこで、ステインの度合いにもよりますが、1週間のうちに何回かは美白歯磨剤を併用してもらうとステインもすっきり落とせるというわけです。
まとめ
繰り返しになりますが、プロケアのホワイトニングと違い、セルフケア用の美白歯磨剤の役割はステインを落とすことです。
最近ではステインを研磨剤で磨き落とすのではなく、歯牙に優しい方法でステインを落とす製品も発売されています。
美白歯磨剤は、ホワイトニングをした方だけでなく、フッ素ジェルや歯周病用ジェルだけを使っている方にもおすすめです。
ステインの付着を気にしている患者さんがいらっしゃったら、ぜひおすすめください。