【保存版】歯間ブラシの「最適なサイズの選び方」と「患者さんへの指導法」
先日、メーカーの担当者の方に歯間ブラシについて改めて教えてもらっていたときなのですが・・・
「今さら歯間ブラシの指導の仕方なんて聞けなくて困っていたので助かりました」というご意見を歯科衛生士の方から頂くこともあるんです、というお話しを伺いました。
その時に、「確かに私も歯科衛生士になりたての頃はあまりよく分かってなかったなぁ」と若かりし頃の自分を思い出してしまいました。
しっかりした歯間ブラシの使い方を知ることで、より効果的なう蝕予防や歯周病予防が可能です。
今日は「歯間ブラシの最適なサイズの選び方・患者さんへの指導法」についてまとめてみました。
そもそも歯間ブラシって本当に必要なの?
よく聞かれるのが「歯間ブラシって必要なの?」ということです。
そのように聞かれた場合は、『歯ブラシでのブラッシングのみでは全体の58%しかプラークを除去できていない』という事実をお伝えしています。フロスを併用すると86%、歯間ブラシを併用した場合95%のプラークの除去ができます。
このように、歯と歯の隙間に残るプラークを除去するためには歯間ブラシが不可欠です。
サイズ選びのコツは「一回り小さい」ものを選ぶこと
歯科衛生士さんに一番よく聞かれるのは「最適なサイズの選び方」です。歯間ブラシの場合、歯と歯の隙間より一回り小さいサイズが最適なサイズです。
よりわかりやすく書くと、隙間にブラシ部分まで収まるぐらいのサイズが目安となります。
大きめの方がきっちりプラークを除去できる気がするかもしれません。
しかし、あまり大きいものを使うと、
・歯間乳頭がつぶれてしまい、歯と歯の隙間が広がってしまう
・歯肉を痛める
・ワイヤーが折れる
といったトラブルの原因になりかねません。
そのため、きつすぎずスーッと入るぐらいの感覚のサイズを選び、左右の歯に沿って磨くイメージで使ってもらうことが大切です。
歯間ブラシの4つの指導ポイント
歯間ブラシの使い方自体はそこまで難しくはありませんが、指導のポイントとしては以下の4つがあります。
(1)最適なサイズについて説明する
患者さん自身がドラッグストアなどで歯間ブラシを購入する場合、大きめのサイズを選ぶ傾向にあります。
そこで、最適なサイズはどの程度なのかをしっかり指導の際にお伝えするようにします。
「きつすぎず、スーッと入るサイズのものを使ってください。○○さんの場合、Sサイズがオススメです」
(2)歯と歯の隙間にブラシをゆっくりと入れる
「歯間ブラシを歯と歯の間にゆっくり入れます」
「この時、金属のワイヤーが歯ぐきに刺さらないように、ブラシを入れる角度には気をつけてくださいね」
(3)左右の歯に沿って磨く
「ブラシを入れたら、左右の歯に沿って前後に動かしてください」
「歯ぐきに押しつけて磨くと、歯ぐきの先端がつぶれしまって隙間が広がってしまいます。特に前歯の部分は見た目にも影響するので気をつけてください」
(4)1日1回でも良いことを説明する
「毎食後使うのは大変だと思うので、まずは1日1回寝る前のブラッシングの時に使ってみてください。1日1回使うだけでも効果はあるんですよ」
「使っていてブラシの毛先が傷んできたり、ワイヤーが曲がってしまったら早めに交換するようにしてくださいね」
こんな質問にはどう対応する・・・?
歯間ブラシを使っているのは全体の3割の人だけともいわれています。そのため、歯間ブラシに初めて触れるという患者さんも多いため、指導の際には色々質問がきます。
これまでに患者さんや同僚の歯科衛生士さんから頂いた質問のうち、よくある質問について2つご紹介します。
歯ブラシと歯間ブラシの順番はどちらが先ですか?
一番多いのがこの質問です。
結論から言うと、磨く部位が違うためどちらが先でも問題ありませんが、先に歯間ブラシを使ってもらうのがオススメです。
多くの方は歯間ブラシを使う習慣がないので、「歯ブラシ→歯間ブラシ」という順番で指導をすると、実際には歯ブラシを使うだけで満足してしまうことがあります。
そのため、「歯間ブラシ→歯ブラシ」の順番で使ってもらったほうが習慣づけになり、う蝕予防や歯周病予防の効果が上がります。
ワンタフトの歯ブラシではダメですか?
こちらは歯科衛生士さんから時々頂く質問です。
歯と歯の隙間が大きい人の場合は、ワンタフト歯ブラシを使った方がやりやすい場合があります。歯と歯の隙間にしっかり毛先が入るのであればOKです。
ですが、しっかりプラークを除去するためにも基本は歯間ブラシを使うことをオススメします。
まとめ
歯間ブラシを毎食後使うとなると大変ですが、歯間ブラシは1日1回寝る前の使用だけでもかまいません。
ただし、大きすぎるサイズを使うと歯肉を痛める原因になるので要注意!歯と歯の隙間より一回り小さいサイズを選ぶことが大切です。
歯科衛生士さん自身が実際に使ってみると患者さんへの指導がより具体的になり、患者さんの納得度も高くなります。
まだ使っていないという方は1日1回寝る前だけでも良いので、まずは試してみてください。